2015-05-16

荒木経惟写真展 「男 - アラーキーの裸ノ顔 - 」



表参道ヒルズ SPACE Oにて開催されていたアラーキーの写真展、行ってきました。
とにかく圧倒されました。

『ダ・ヴィンチ』の巻頭連載企画で撮影されてきた数々のポートレートをオリジナルプリントで一挙公開!というないようだったのですが、この展覧会がなかったら 私はきっとこの連載の存在すら知らないままだったでしょう…(お恥ずかしい限り…)

計200点。
その歴史とパワーに圧倒されたというわけです。

だけど 全作品を見てみて思いました、これはアラーキーのテクニックやセンスを見せ付けるようなものではなく 被写体である登場人物の力に懸けている(委ねている)ものなんだ、と。

しかし、それがゆえ 被写体が持っている力〈センスやオーラ、撮られるということに対しての自覚、そこからくるであろうやる気、そして己に対する熟知度のようなもの〉の有無が露骨に表れている印象を強く受けました。

写真として完成度というものがあるとするならば、そこに至っていないのでは?と思わざるを得ない被写体が多かったように思えます。

そんななかで、ひときわ恐ろしい輝きを放っていたのが たけしさんでした。

(via: http://matcha-ice-cream.hatenablog.com/entry/2015/04/30/235841)

会場の大きなパネルにもプリントされていた
1997年の「ビートたけし」と2014年の「北野武」です。

かっこいい。

いいなと思ったのはもちろん他にも。挙げるなら、山﨑努さん 七代目市川染五郎さん 町田康さん 藤木直人さん 窪塚洋介さん 柄本明さんなどなど
表情も構図も色良くて、言葉では表せない「何か」の良さも感じました。あくまで、私は、ね。


でも一番驚いたのは、フライヤーの紙質かしら…(そこかよ!)
いわゆる月刊ファッション誌の一ページのような紙だったの。ツルツル、ペラペラの。


それにしても、アラーキーの写真展は いつもどこかしらで開催されているから 本当に凄い。
昨年末もほぼ同時に三つくらいやっていて、肝を抜かれました。


特に、資生堂銀座ビルでひっそりとやっていた「花椿 ポートレイト+ペインティング」が印象的でした。

『花椿』のとある対談連載では、ゲストの写真をアラーキーが撮りおろしていて さらにはその写真にペインティングを施しているのだけれど、その原画とも言うべきオリジナルプリントが展示されていたのです!(未掲載のものも)

つるつるとした印画紙に塗られた絵具は、こってりと厚みを感じるテクスチャーだったり、水を多く含んでいるがゆえ均一に広がらず弾いた表情だったりさまざまで、どれも筆跡が顕著なのを体感したのですが、いやはや素晴らしかったです。

はあ~~~ “ホンモノ”って良いな~~~ とまたまたまた強く思ったのでした。