2015-05-27

「Le fil rouge」 Espace Louis Vuitton Tokyo



今、エスパス ルイヴィトン東京では「赤い糸」をテーマに掲げたグループ展が開催されています。

「赤い糸」と聞くと、わたしたち日本人の多く(とアジアの人々)は 男女の愛に代表される運命的な繋がりを連想するけれど、これは中国の伝説に由来するらしく、内容は ふたりの“くるぶし”に赤い糸を結びつけ ふたりを結びつける、というもの。

しかしこの伝説にはさまざまなバージョンがあるらしい。確かに日本では、“小指”に ということになっている。

しかも、ドイツ語やフランス語ではちょっと違った意味で使われているそう。
「ものごとを関連づけて導いていく思考方法」と表現されるそうだけど、、、いやあ、全部 初めて知りました。

(via: http://espacelouisvuittontokyo.com/ja/#photoGallery)

キュレーターを務めた ミチコ・コウノさん、
「今回この言葉をテーマにすることによって、パリ・ミュンヘン・東京の3館のエスパスを繋ぐという意味を込めたいと考えました。」
(via: http://www.afpbb.com/articles/)

そう、「Le fil rouge(赤い糸)」は3館合同企画であり計8名のアーティストが参加しているのです。各館にはそのうち4名の作品が展示されている(されていた*)という仕組み。
*ミュンヘン 1月29日~4月11日、パリ 2月6日~5月3日

「糸」がテーマに掲げられた理由、それは糸という言葉が持つ意味とそこに込められた思いであること以上に、作品をつくりあげるマテリアルでありツールでありモティーフでありメディアであるからです。



▼ 「250 Points Towards Infinity」 Tatiana Trouvé




まるで振り子のように右へ左へ揺れている途中を切り取られたかのようにピタリと静止していて、ここだけ時間が止まっているよう。

床ぎりぎりのところにある鉛と天井を繋いでいるのは、測鉛線。
測鉛線は本来垂直を図るために使う道具ですが、今回垂直にのびているものはひとつも無く、床下に埋め込まれた強力な磁石により それぞれのポジションで斜めの状態を保っています。




ご存知、ここ 東京のエスパスは、面積193㎡ 天井高8.45mとかなり高さのある空間なうえにガラス張り!

「250 Points Towards Infinity」をこのような空間で発表するのは初めてとのこと。いつもはもっと天井の低い空間に展示しているようで、新たな表情をみることができた ということでしょうか。サイトスペシフィッククインスタレーションはこういうところが本当面白いし、ならではです。


(via: http://espacelouisvuittontokyo.com/ja/#photoGallery)
だからこそ、こんな風に青く染まる時間帯に行きたかったなあ…





▼ 「mimicry」 Michael Raedecker





▼ 「Color Misbehavior」 Ghada Amer


「絵画」は男性のものであるという社会、文化の中で作者が見出したのは、「刺繍」による絵画的表現。
離れてみたり 近づいてみたり、表情が変わります。




▼ 「The Thread」 Hans Op de Beeck

(via: http://openers.jp/gallery/958371/8)
唯一 3館共通の作品として展示されている、映像作品。



ちなみにパリでは、サイトスペシフィッククインスタレーションに焦点を当てた作品セレクトになっていて、こんな感じだったらしい。いいなあ、こういうインスタレーション大好きなの。

 (via: http://www.actuart.org/2015/03/expo-collective-contemporaine-le-fil-rouge.html)


「単位展」 21_21 Design Sight



身の回りにあふれる「単位」を再確認できる、「単位展」ももうすぐ終了。
今月末まで。
面白かった!本当、面白かったです。

単位や数字を論理的に扱っているであろう理系脳にとって このアプローチはかなり新鮮なものだと思うし、魅せ方こそ当たり前だけどという感覚的芸術脳にとっては 単位という概念の不可欠さにハッとする…そういう内容だったように感じています。



まず 受付で受け取るのは、チケット? いや、メジャー。



こういうところが「デザイン」の憎いところ。



そもそも「単位」って?からスタート。

空気、水、モノ、光、音、自然環境――そのままでは捉えにくい世界に一定の基準を設けることによって比較や共有を可能にした知恵と思考の道具。それが「単位」です。
中略
世界の共通言語のように誰でも使える単位がある一方で、それぞれの社会や風土に根ざした独自のものもあります。たとえば日本なら畳のサイズや坪数など、今でも暮らしに深く根づいている尺貫法。
以下省略
(会場キャプションより)
畳のサイズ、私自身 基準として頻繁に使ってるなあ…



単位のはたらき
・はかる ・比べる
・共有する ・計算する
・規格化する ・変換する



メートル、平方メートル、リットル、キログラム、ニュートン、ジュール、シーベルト、モル。
これらは四天王ならぬ八天王、単位八天王とでも言うべきか。



とにかく何から何まで美しく視覚化されているのを存分に体感できます。

質量(㎏、ポンド)の比較、容積(L)の比較、情報(GB)の比較、速さ(マッハ)の比較、時間の比較、お金の比較、長さの比較。






このパイプ椅子、流通している一番一般的なのは42㎝のはず。
私もかな~~りお世話になりました。
そして21㎝も忘れてはいけない存在なのです。
(21㎝の小椅子に座って描く木炭紙大のデッサンは主に静物と人物だったけど、それらはなぜか褒められることが多かったなあ… 小椅子好きなの)







いいなあ…と見惚れてしまったのは、西本良太さんによる「Playing with Standard」
しかし、嗚呼、あろうことか写真に撮っていない。



うきうきしたのは、「お酒スケール」!









癒されたのは、ヨシタケシンスケさんによる「わたしの考えた時間の単位」



1 cherryがすき。
イラスト然り視点も可愛くて面白くて、最高!



近づくとピクセルが粗くなる作品、楽しかった。
ばっちりサオリカラーでしょ




Bryan Nash Gillさんによる「WOODCUT」シリーズも展示されていました。


展示作品は撮影不可だったので、書籍の表紙を載せますが、この生命力とその神秘に感動しました。美しかった~~~
気になる方はweb siteGoogle画像検索でチェックしてみて



大日本タイポ組合による「年がら年寿」も面白かった。
みなさん何寿ですか?
ちなみに私は圭寿です。

セブンティーンとラストティーンはまさかの平仮名で、66歳がなかなかのツワモノです。ふふふふ…



他にもたくさんあるんだよ~
見るべき!行くべき!と断言できます。



「単位展―あれくらい それくらい どれくらい?」
【会期】 ~2015年5月31日(日)
【休館日】 火曜日
【開館時間】 11:00-20:00
【会場】 21_21 DESIGN SIGHT
【住所】 東京都港区赤坂 9-7-6
http://www.2121designsight.jp/




2015-05-16

荒木経惟写真展 「男 - アラーキーの裸ノ顔 - 」



表参道ヒルズ SPACE Oにて開催されていたアラーキーの写真展、行ってきました。
とにかく圧倒されました。

『ダ・ヴィンチ』の巻頭連載企画で撮影されてきた数々のポートレートをオリジナルプリントで一挙公開!というないようだったのですが、この展覧会がなかったら 私はきっとこの連載の存在すら知らないままだったでしょう…(お恥ずかしい限り…)

計200点。
その歴史とパワーに圧倒されたというわけです。

だけど 全作品を見てみて思いました、これはアラーキーのテクニックやセンスを見せ付けるようなものではなく 被写体である登場人物の力に懸けている(委ねている)ものなんだ、と。

しかし、それがゆえ 被写体が持っている力〈センスやオーラ、撮られるということに対しての自覚、そこからくるであろうやる気、そして己に対する熟知度のようなもの〉の有無が露骨に表れている印象を強く受けました。

写真として完成度というものがあるとするならば、そこに至っていないのでは?と思わざるを得ない被写体が多かったように思えます。

そんななかで、ひときわ恐ろしい輝きを放っていたのが たけしさんでした。

(via: http://matcha-ice-cream.hatenablog.com/entry/2015/04/30/235841)

会場の大きなパネルにもプリントされていた
1997年の「ビートたけし」と2014年の「北野武」です。

かっこいい。

いいなと思ったのはもちろん他にも。挙げるなら、山﨑努さん 七代目市川染五郎さん 町田康さん 藤木直人さん 窪塚洋介さん 柄本明さんなどなど
表情も構図も色良くて、言葉では表せない「何か」の良さも感じました。あくまで、私は、ね。


でも一番驚いたのは、フライヤーの紙質かしら…(そこかよ!)
いわゆる月刊ファッション誌の一ページのような紙だったの。ツルツル、ペラペラの。


それにしても、アラーキーの写真展は いつもどこかしらで開催されているから 本当に凄い。
昨年末もほぼ同時に三つくらいやっていて、肝を抜かれました。


特に、資生堂銀座ビルでひっそりとやっていた「花椿 ポートレイト+ペインティング」が印象的でした。

『花椿』のとある対談連載では、ゲストの写真をアラーキーが撮りおろしていて さらにはその写真にペインティングを施しているのだけれど、その原画とも言うべきオリジナルプリントが展示されていたのです!(未掲載のものも)

つるつるとした印画紙に塗られた絵具は、こってりと厚みを感じるテクスチャーだったり、水を多く含んでいるがゆえ均一に広がらず弾いた表情だったりさまざまで、どれも筆跡が顕著なのを体感したのですが、いやはや素晴らしかったです。

はあ~~~ “ホンモノ”って良いな~~~ とまたまたまた強く思ったのでした。




2015-05-06

RALPH & RUSSO 春夏 2015 オートクチュール



2015年 空前の70s旋風到来、に白目。

だけどそんな私のもとにもオアシスが…!
そう、RALPH & RUSSO

50~60sな王道古典クチュール、ありがたや~~~